【Illustrator】ラスタライズとは?ラスター画像とベクターデータを理解できればすぐに分かる!

イラレのラスタライズについてどこよりも分かりやすく解説していきます。

Illustratorの効果機能まとめ:全ての効果をどこよりも分かりやすく解説

イラストレーターのラスタライズとは?

ラスタライズ

イラレのラスタライズはベクターデータをラスター画像に変換する機能になります。この効果はメニューバー>効果>ラスタライズにある機能ですが、この機能を理解するにはしっかりとベクターデータとラスター画像の言葉の違いを理解する必要があります。

メニューバー内のラスタライズ

まずはベクターデータとラスター画像の違いについて説明していくよ

ベクターデータとラスター画像の違いとは?

ベクターデータとラスター画像の違いというのは、一言でいうとイラスト(画像)のパソコン上の扱いが変わってきます。

ラスター画像は1ピクセルごとにカラー情報を持つ画像

イラレでは画像オブジェクトがラスター画像

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ラスター画像は1粒1粒のカラー情報(色や濃さなど)を持ったピクセル(点)の集まりで成り立っています。そのため、遠くから見ると1粒1粒が目立たない=綺麗に見えるんですが、近づけば近づくほど1粒1粒が目立つ=汚く見えるようになります。

1ピクセル=1カラー

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一般的には、このラスター画像の方が馴染みが深くスマホやカメラなどの写真は全てラスター画像になっています。

液晶テレビと同じ理論で解像度が高くなる(4Kテレビや8Kテレビなど)というのは、1ピクセルが小さくなって点の量が多くなるからたくさんのカラー情報を保持することができて綺麗に見えるっていう理論なんだよ

ベクターデータは位置情報を元にコンピューターで再現された画像

イラレではテキストや図形がベクターデータ
ベクター画像の説明

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ベクターデータは1粒1粒のピクセルではなくコンピューターで指定した位置情報を元にカラーを実現します。そのため、画像を拡大・縮小しても位置情報(コード)を元に再現されているので全く画質が変わらないのです。

ベクター画像の原理

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上のSVGの写真を実際に見る

ただ写真には不向きでカラー情報(色の数)や位置情報(細かさ)が多くなればなるほど(写真が緻密になるほど)、ファイル容量が重くなります。

ラスター画像とベクターデータを見た目で比較してみる

では、実際に写真を用いてラスター画像とベクターデータを見た目で比較してみましょう。

上の写真のJPEGファイルを見る

上の写真のSVGファイルを見る

ズームするとJPEGファイルとSVGファイルの違いがよく分かるよ

ラスター画像とベクターデータをファイル容量で比較してみた

一般的にカラー情報の多い写真はラスター画像(JPEGやPNGなど)を使いロゴやアイコンなどカラー情報の少ない画像はベクター画像(SVG)を使うと言われていますが、その理由をファイル容量の観点で見ていきましょう。

拡大・縮小しても画質が変わらないベクター画像を全部使えばいいじゃん!って思う人の疑問を解決していくよ

ここにカラー情報の多い画像とカラー情報の少ない画像を用意しました。

ラスター画像とベクター画像

ちなみにラスター画像はJPEGファイル、ベクター画像はSVGファイルだよ

まずはこの2つの画像容量を比較してみましょう。ちなみに画像サイズは同じです。

ラスター画像・ベクター画像の比較

803000Bと294Bと圧倒的になりました。ちなみに左にラスター画像をPNGで保存すると更にファイルが大きくなります。

次に2つの写真を同じJPEG画像にして比較してみましょう。

ラスターに統一

するとラスター画像の方は元々JPEGファイルなので、変化はないですが元々ベクター画像の方をJPEGファイル(ラスター画像)にして保存をすると約153倍ファイルが大きくなってしまいました。

これは大きさとかカラー情報量によって変わるから153倍という数値は無視していいけど、とにかくファイルを変えるだけでこれだけ変わるってことは覚えておいて!

では、逆に2つともSVGファイルにして保存してみましょう。

ベクターに統一

すると元々ラスター画像だった左の写真が約9.3倍大きくなってしまいました。確かに綺麗かもしれませんが・・・ファイルが大きくなりすぎてしまいますよね。

実際にこのファイルをブログやサイトとかウェブを使ってみると、違いの大きさが身にしみて分かるよ

イラレのラスタライズの使い方

それでは、手順に沿ってラスタライズの使い方を見ていきましょう。

STEP.1
ベクターデータを用意する

イラレの図形やテキストは全てベクターデータなので、適当に用意していきます。

オブジェクト準備
STEP.2
メニューバー>効果>ラスタライズ
メニューバー内のラスタライズ

オブジェクトを選択した状態で行いましょう。

STEP.3
ラスタライズ設定画面で設定
ラスタライズ設定画面

ラスタライズをクリックすると上のような設定画面が表示されます。下の図解を参考に設定していきます。

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STEP.4
OKを押して完了
完成

設定が完了したらOKを押してラスタライズ化されてベクターデータだったオブジェクトがラスター画像になりました。

どんなときにラスタライズするべき?

印刷会社に入稿するときはラスタライズ化することが多い

作ったイラストでTシャツや名刺、チラシ、ポスターなどを作りたいときに印刷会社に入稿しますが、その前にラスタライズ化して入稿することが多いです。

ベクターデータで多く複雑なイラストを入稿すると、どうしてもデータが重くなってしまったり印刷する際のトラブルになることが多くなるのでラスタライズしてから入稿することが多いです。

ちなみに入稿するときのラスタライズ設定はカラーモード:CMYK、解像度:高解像度、背景:透明、アンチエイリアス:アートに最適が一般的だよ
一般的な入稿するとき設定 >>いまいちピンと来ない人はベクター画像とラスター画像のファイル比較を参考にしてください。 【Illustrator】トンボ(トリムマーク)とは?意味から使い方まで徹底解説

複雑なイラストにPhotoshop効果を適用したい

複雑なイラストにはラスタライズを適用 Illustratorの効果機能まとめ:全ての効果をどこよりも分かりやすく解説

上の記事にIllustrator効果とPhotoshop効果の違いなど全て書いてありますが、ベクターデータのイラストが複雑になってそのままPhotoshop効果を適用するとその後の動作が重くなってしまいます。カクカク止まっているときのほとんどは複雑なイラストにPhotoshop効果を適用しているときです。

そんなときはPhotoshop効果を適用する前にラスタライズしてラスター画像にしてからPhotoshop効果を適用してあげるとデータが重くなりすぎずに済みます。

理屈としては複雑なベクターデータを細かくPhotoshop効果を適用するのは重すぎるんだけど、ラスター画像として扱えばスムーズにPhotoshop効果を適用することができるよ

まとめ

イラレ上のラスタライズについてラスター画像とベクター画像の違いを理解しながら解説しました。まだ複雑なイラストを製作したことのない人にとったらラスタライズは聞き慣れない言葉かもしれませんが、しっかりと理解するとこれからのイラスト編集がずっと楽になりますよ。